会長挨拶

全国病院経営管理学会会長 相澤孝夫

病院を取り巻く環境は近年急速にしかも大きく変貌しており、この傾向は今後も継続すると思います。組織として医療を行う病院は、この環境変化に適応して継続発展するために、単なる人の集まりとして行動する集団ではなく、組織の目的を達するために人が集まり組織として活動する人の集団にならなければなりません。
国家資格を有する専門職が多数集まる病院は、職種によるヒエラルキーの存在や専門職集団による分断などにより縦割り組織となり、組織が一体となって活動することが難しい組織といえます。しかし、病院はこの組織状態のままでは、厳しい変革の時代を乗り切ることができません。
組織としての目的・目標を掲げて職員に周知徹底するトップマネジメントと現場で目的・目標を達成するための成果を創出するミドルマネジメントが上手くかみ合って組織として成果を創出することが病院にとって重要となります。
しかしミドルマネジャーは、病院特有な組織構造や働き手・働き方の多様化のため、各部門・部署においてマネジメントに苦慮しつつ創意工夫をしていると思います。そのような現場の悩みや、改善・改革を共有して自組織及び病院の更なる発展進歩につなげていくことが本学会の目的です。このため本学会の基軸は学会内に設立されている各種委員会活動におかれています。
病院の部門・部署のマネジメントにかかわっている大勢の方々がこの委員会に参加してくださることにより、学びの場である委員会及び委員会間共同(合同)の活動をさらに活発にしたいと考えています。
本学会は参加される皆様のお役に立つ活動を通じて、皆様の病院を発展・進化させたいと思っております。皆様のご支援ご協力のほどよろしくお願いします。

全国病院経営管理学会について

病院経営にとって、人事・賃金・人間関係などの労務は、医事・財務管理と並んで健全な病院経営管理の基本となる重要事項として、常に適正な対応が求められています。

当学会は昭和39年5月に全国病院労務管理学会を創設し、病院の特殊性に立脚した正しい労務管理の確立と安定した労使関係の樹立を介して健全経営を図ることを目的に、調査・研究、学会・講習会開催などの各種事業を行ってきました。

昨今のわが国の経済情勢、労働情勢の変化や21世紀における本格的な高齢化社会を見据えた国の医療構造改革などに対応して、当会の研究事業を労務管理のみならず、病院経営全体に広げ、組織名を平成9年4月、「全国病院経営管理学会」と改称し、従来の事業に加えて新しい時代の病院健全経営に向けた経営管理に関する情報の収集、経営の理論的・実践的研究を行い、その情報や研究成果を経営だより、学会・各種研修会、資料・作成などにより会員各位に提供し会員病院の健全経営のお役に立つことを理念として積極的に事業を展開しております。